大学院入試【理学研究科・物理学専攻】
2022年度春入学の大学院入試が終わりました。1年ほどかけて準備をしてきた中で、文字で残しておきたいことがあったので、ここにまとめようと思います。
今回の受験の中身
・志望:東北大学 理学研究科 物理学専攻
・面接試験:あり(今年はコロナの影響でオンライン面接でした)
・試験勉強を始めた時期:試験のちょうど1年前
・解いた過去問:東北大15回/東大物理36回(18年2周)/東大数学34回(17年2周)/京大3回
院試勉強、いつから始める?
「人それぞれ」だと思います。ですが、少なくとも3ヶ月以上前から院試対策として勉強するのをお勧めします。過去問を解いていく中で不足していた知識・計算技術の存在に気づくこともありますし、志望する大学の試験が他の大学の試験と似通っていることも多々あります。
学力に不安がある人、倍率の高い研究室を志望する人は1年ほど前から知識の見直しを始めても良いのではないでしょうか。
院試はあくまで試験ですので、合格したもの勝ちです。自分に実力があってもなくても、戦略的に望むのが良いと思います。
過去問はどれぐらい解く?
大学によって、公表されている過去問の量にはばらつきがあります。
・東北大学:直近6年程度
・東京大学:平成8年度〜
・京都大学:平成8年度〜
研究室の先輩などに聞けばさらに昔の過去問が手に入ることもあります。また、研究室の学生部屋に歴代の過去問が残されている場合もありますので、探してみてください。
志望する大学院の問題は、できるだけ多く解くのが良いでしょう。3ヶ月あれば10~20年分の問題を解くことができるはずです。
ですが「解いて終わり」は最も良くない勉強法です。先人たちの回答例がWebなどに存在するはずなので、探してみてください。FarPhysでも入試問題の解答を公表していく予定です。
過去問を解ける自信がない人へ
過去問はあくまでも「自分の実力がどれぐらいかを測る手段」に過ぎません。基礎知識等に不安がある人は、まず最初に大学の演習問題を解くことをお勧めします。大学の演習問題や市販の演習書はその分野の基礎的な知識等を網羅しています。まずは「自分は何がわかっていないのか?」を明確にすることから始めましょう。
勉強するときのTips
ここからは試験勉強をする際の小技を紹介しようと思います。
・勉強の記録をつける:自分がどれぐらいの時間を、何に費やしているかに意識的になりましょう。「学習計画表」などとGoogle検索すると勉強時間を記録するためのさまざまなツールが出てきます。アプリを使うのもよし、紙媒体を使うもよし、です。「今日はOO時間頑張った!」「明日も頑張ろう!」というモチベーションにもつながると思います。
・勉強に使ったノート・紙は捨てずに残しておく:勉強に使ったノートたちは、努力の量そのものです。試験当日は不安になることもありますが、勉強に使ったノートの量がわかれば、自分に自信が持てると思います。また、勉強している際に「この問題、昔やったなぁ」と思う時が必ず来ます。その時に、以前自分がどのような議論をして答えを出したか確認できる手段があることは、どんなに素晴らしい解説書を読むよりも有益だと思います。
院試当日のTips
院試直前と当日にやっておくと良いことを紹介します。
・1週間前から、当日起きる時間に起きるようにする:人間、急に「この時間に起きなさい!」と言われても無理です。早めに体を当日のスケジュールに慣らしておきましょう。
・試験開始前に机に慣れる:大抵の場合、試験場は普段勉強している場所とは環境が全く異なります。机や椅子の高さ・硬さ・傾きもコンディションに直結します。試験場に入ったら、ノートに数式などを書いてその環境に少しでも慣れておきましょう。
・解直しをする(特に理論志望者):理論系の研究室では面接の際に、筆記試験で間違えた問題を再度解き、解説することが要求されることが多々あります。筆記試験終了から面接試験までの時間は一晩〜1日と短いですが、自分の志望する研究室に関連する分野(素核理論なら数学・量子力学、物性理論なら電磁気学・統計力学など)だけでも良いので解き直し、自分がどのように間違えたか、正しい議論はどのようなものか、しっかりと確認しておきましょう。
最後に
大学院入試は試験ですが、大学院からの生活は学部生時代の「お勉強生活」ではなく「研究生活」です。入試では最大限の努力をし、終わったら卒論やその先の研究に向けて、気持ちを切り替えていきましょう(終)